全てが終わりを告げる時
「但し、思い上がらないでほしい。

倉渕会長には、大きな改善点があるからね」


「なっ……」


相手を褒め、思い上がらせた瞬間、釘を刺す


自信を羞恥心へと瞬時に変えるその姿に、慎也の腹黒さが、ありありと感じられた



「───倉渕会長の改善点は、二つ。

一つは、移動する直前、移動先を目で確認していること。

知能が高いもの相手なら、すぐにやられてしまうよ?


そして、もう一つは……」


「猪突猛進タイプであること」


慎也の声に重ねれば、彼は大きく頷いた


それは、説明の受け渡しを意味している



「柚希の風船を割った後、あなたは慎也を次なる標的とし、そして1分間能力を使い続けた。

───私の位置や動きなんて、確認することもなく」


「そ、それはっ……王寺の後に……」


「生徒会長という立場の人間の頭脳は、その程度のものだったのかしら?

本当の戦闘の際、一部の敵を相手にして、その他の敵を後回しになんてしていたら、すぐに殺られてしまうわ。


物事に一心に向き合うことは良いことだけれど、戦闘の際には捨てること。

それに、視線誘導の術くらい、習得すること。

能力だって、今みたいに無計画に使い続ければ、命をも削るわよ」



……言い過ぎてしまったと、後悔した


辛辣な言葉で、大人気なく高校生を傷付けてしまったと、自分を恨めしく思った
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