全てが終わりを告げる時
けれど、私がこうしなければ、彼はきっとこのままなのだ


そしてそのまま、戦場へと赴き……


その先の結末など、考えたくもない



私が嫌われるだけで、誰かが犠牲にならずに済むのなら、

私は迷わず、誰かを守る選択をする



私のその言葉に、倉渕羽津摩は案の定、傷付いた顔をし、そして───激怒した


「っなんだと!?

人を馬鹿にするのも大概にしろ!

一つのことしかできない自分の弱点など、とうの昔に把握している!!

それにっ、俺はまだ、この組織に加わることを承諾してなどいない!!」


鬼の形相でそう叫ぶと、バンッ!とテーブルを叩き、倉渕羽津摩は席を立った


そのまま、肩を怒らせながらエレベーターへと向かう



「……今日はここでお開きにしようか。

ちょっと外まで見送ってくるよ」


その言葉を残して、慎也も倉渕羽津摩の後を追う


二人が分厚い扉の向こうへと消えた後、気が付けば、雫が頬を伝っていた



「ごめんなさい……ごめんなさい……」


伝える相手のいないその言葉は、空気へと静かに溶け込んでいく



「……自分を責めないでよ。

傷付けてしまったとしても、輝祈の言ったことは、正しかったんだから」


隣に座っていた柚希が、背中を撫でながらそう言ってくれる


けれど、心が晴れることはなくて


私は暫く、その場で小さく謝り続けていた───
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