相合傘短編
不器用王子とお姫様
「はあ、最悪だ…」
放課後、私は一人玄関で呟いた。
生徒会が長引き帰りが遅れた上に、雨まで降っている。
これを最悪と言わずなんというか。
「おっ?こんな遅い時間に女子が1人、どうしたの?」
「あ、部長。部長こそどうしたんですか?」
「俺は自主練。…そういえばお前生徒会だったな。だからこの時間か」
「そうなんですよ。あ、今日部活行けなくてすみません。こんな遅くなると思わなくて」
「いいっていいって。生徒会なんだから仕方ない」
先輩はバレー部の部長で、私はバレー部のマネージャー。
先輩は前からよく私に話しかけてくれる、気さくないい人だ。
「あ、雨降ってるじゃんか。気づかなかったわ」
「私も玄関に来るまで全く気付きませんでしたよ…傘持ってきてないのに」
「あちゃー、そりゃ大変だね。家どこらへん?」
「◯◯公園の近くです」
「まじで?俺そこ通り道なんだわ。良かったら傘入ってく?」
「え、私は大丈夫ですよ」
「いいから入ってけって。こんな雨降りで暗い中女の子1人ほっとけないし」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「それでよし。じゃあ帰るか」
靴を履き外に出ると先輩は傘を開いた。
「隣にどうぞ、お姫様」
「もう、やめてください…」
私は少し照れながらも隣に入った。
外はいつの間にか土砂降りになっていて、3秒雨に当たっただけでもびしょ濡れになってしまいそうなくらいだった。
先輩が傘に入れてくれてなかったら絶対に風邪をひいてたなぁ。
先輩に感謝。
「あ、そういえば、テーピングもうすぐなくなりそうです」
「え、まじか。部員多いとなくなるのも早いな…。明日オフだから、買いに行くわ。最近できたデパート、うちの近くだし」
「いえ、私が行きますよ。マネージャーの仕事を部長にさせる訳には…って、え?」
たしか、最近できたデパートは一つしかないはず。
しかもそこは私の家とは全く反対側。
先輩の家が私の家の近くの公園よりも先なら、デパートまでは相当遠いはずだ。
ということは。
「?どうした?…やべ」
先輩は、今、家とは逆方向に向かってる?
「すみません、先輩に気を使わせてしまって。さっきよりは雨脚弱くなってるので大丈夫です。先輩、今日はありがとうございました」
「ちょ、待って待って!弱くなったって言ったってまだ雨降ってるから!それに、気使ったわけじゃないし!」
「え?」
「お前は俺に遠慮しなくていいの!俺が好きで送ってんだから!」
「は、はぁ…?」
先輩の考えてることがわからない。
雨の中わざわざ遠回りして家に帰るなんて、好きですることじゃないから。
「あーもう…。俺は!お前のことが!好きなの!好きな子を送りたくて何が悪い!」
「…へ?」
「…何回でも言う。お前が好きだ!付き合ってください!」
「ふぇ、あ、えっと、ありがとう、ございます?」
「お礼じゃなくて、返事が欲しいな…?」
「え、あの、考える時間をくれると嬉しいです…」
「あー、そっか。じゃあ、明日、買い出し一緒に行こ。だから、その時に返事して?」
「はい…。あ、私の家、ここです。送ってくれてありがとうございました」
「いえいえ。明日、10時に△△駅な」
「わ、わかりました!」
「返事、待ってるから」
「はい」
焦って言えなかったけど、返事なんて決まってる。
明日、先輩の喜ぶ顔を見るのが楽しみで、眠れないかも。
放課後、私は一人玄関で呟いた。
生徒会が長引き帰りが遅れた上に、雨まで降っている。
これを最悪と言わずなんというか。
「おっ?こんな遅い時間に女子が1人、どうしたの?」
「あ、部長。部長こそどうしたんですか?」
「俺は自主練。…そういえばお前生徒会だったな。だからこの時間か」
「そうなんですよ。あ、今日部活行けなくてすみません。こんな遅くなると思わなくて」
「いいっていいって。生徒会なんだから仕方ない」
先輩はバレー部の部長で、私はバレー部のマネージャー。
先輩は前からよく私に話しかけてくれる、気さくないい人だ。
「あ、雨降ってるじゃんか。気づかなかったわ」
「私も玄関に来るまで全く気付きませんでしたよ…傘持ってきてないのに」
「あちゃー、そりゃ大変だね。家どこらへん?」
「◯◯公園の近くです」
「まじで?俺そこ通り道なんだわ。良かったら傘入ってく?」
「え、私は大丈夫ですよ」
「いいから入ってけって。こんな雨降りで暗い中女の子1人ほっとけないし」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「それでよし。じゃあ帰るか」
靴を履き外に出ると先輩は傘を開いた。
「隣にどうぞ、お姫様」
「もう、やめてください…」
私は少し照れながらも隣に入った。
外はいつの間にか土砂降りになっていて、3秒雨に当たっただけでもびしょ濡れになってしまいそうなくらいだった。
先輩が傘に入れてくれてなかったら絶対に風邪をひいてたなぁ。
先輩に感謝。
「あ、そういえば、テーピングもうすぐなくなりそうです」
「え、まじか。部員多いとなくなるのも早いな…。明日オフだから、買いに行くわ。最近できたデパート、うちの近くだし」
「いえ、私が行きますよ。マネージャーの仕事を部長にさせる訳には…って、え?」
たしか、最近できたデパートは一つしかないはず。
しかもそこは私の家とは全く反対側。
先輩の家が私の家の近くの公園よりも先なら、デパートまでは相当遠いはずだ。
ということは。
「?どうした?…やべ」
先輩は、今、家とは逆方向に向かってる?
「すみません、先輩に気を使わせてしまって。さっきよりは雨脚弱くなってるので大丈夫です。先輩、今日はありがとうございました」
「ちょ、待って待って!弱くなったって言ったってまだ雨降ってるから!それに、気使ったわけじゃないし!」
「え?」
「お前は俺に遠慮しなくていいの!俺が好きで送ってんだから!」
「は、はぁ…?」
先輩の考えてることがわからない。
雨の中わざわざ遠回りして家に帰るなんて、好きですることじゃないから。
「あーもう…。俺は!お前のことが!好きなの!好きな子を送りたくて何が悪い!」
「…へ?」
「…何回でも言う。お前が好きだ!付き合ってください!」
「ふぇ、あ、えっと、ありがとう、ございます?」
「お礼じゃなくて、返事が欲しいな…?」
「え、あの、考える時間をくれると嬉しいです…」
「あー、そっか。じゃあ、明日、買い出し一緒に行こ。だから、その時に返事して?」
「はい…。あ、私の家、ここです。送ってくれてありがとうございました」
「いえいえ。明日、10時に△△駅な」
「わ、わかりました!」
「返事、待ってるから」
「はい」
焦って言えなかったけど、返事なんて決まってる。
明日、先輩の喜ぶ顔を見るのが楽しみで、眠れないかも。