あの時手が伸ばせたなら。
「こっちでの友達1人目だ」


目の前の男の子がニコッと笑う。


ああ、気持ちいい。


なんだか心があったかくてふわふわする。


あたしはピンク色の風に包まれる。


………


パッと目の前が明るくなった。


どうやら3時間の勉強のあと、力尽きて蛍光灯に照らされながら寝ていたみたい。


いつも間にか窓の外は暗くなり始めていた。


「んー」


目を閉じて伸びをしてみたけどなんか目が覚めない。


あたしはベランダに出て、また目を閉じながら、大きく深呼吸をした。


そして目を開いた。


目の前に広がる空。


うすーい水色からオレンジへと変わっていく。


境界線はまったく見えない。


単純に、綺麗だと思った。


ずっとこの空を見ていたい。


なんか心が落ち着く。


ふと、今見ていた夢を思い出した。


“こっちでの友達1人目”かぁ。


胸が弾んでくる。


次第にそれは激しさを増し


ドキドキに変わった。


これから、どんな関係になるんだろう。


あたしの深い深い心の闇に、一本の光が差した。
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