あの時手が伸ばせたなら。
休み時間、直紀の机の周りはひとが数人集まっていた。
クラスの中では目立つ方の、少しチャラい男女5人グループ。
その中にあのド天然なお調子者もいた。
あの人たち、優しそうだけど雰囲気ちょっと怖くて、話したことないんだよね…
直紀大丈夫かなぁ。
「ねえねえ、同い年の男って、なんて名前なのぉ!?」
「双子ってほんと!?てかどっちもイケメーン!」
「直紀、お前どこの学校から来た!?もしかして東京!?都会人キタァー!!」
「なあ、ライン交換しようぜ!あ、スマホ持ってる?」
少し漏れて聞こえてきた。
うわぁー、勢いがすごい…
さすが、あのグループ……
そういえば、もう1人の転校生、雅人も学校中で噂になり、情報が広がっている。
やっぱり雅人の苗字が斎藤っていうのは聞き間違えで、2人は双子らしい。
いろんな噂が流れているけど、噂のほとんどがイケメン転校生って話と、イケメン転校生が10人に告られたってことだった。
まあ、2人とも十分イケメンだもん。
顔は全く似ていない2人だけど、綺麗な茶色がかった瞳。少しふんわりした髪の毛。筋肉質な腕。大きな手の平。たくましい体。その全てが2人とも揃っていた。
10人から告白されたっていうのはどっちのことか、本当のことかわからないけど、この調子だとファンクラブができそうだ。
「ごめん、スマホ持ってない」
え………?
ぶっきらぼうに答えた声が聞こえた。
「え!まさかお前スマホ持ってきてねーの?あしたは持ってこいよなー」
「いや、ちがう…えっと、持ってない」
「…お前ケータイないの!?」
「あ……うん。ごめん」
この学校はほとんどの人が少し遠いところからきている人ばかりで、ケータイを持ってる人ばかりだった。
「なんだぁー、そっか、なんか……俺こそごめんな」
「いや…」
……あたし、雅人に追加してって言われて追加したよね…?
持ってないってどういうこと?
ますます疑問が増えた。
それも、あとから聞いてみよう。
それにしても……
この学校に転校してくるなんてラッキーだな。
…ふと思った。
この学校はいじめなんて絶対にない。
ケンカすらめったにない学校なんだ。
きっと、他の学校だったらスマホ持ってないと避けられたりしたかもしれない。
でも、今だって…
「なら、イエデンくらいはいいだろ!?いつでもかけれるし!」
「あ、うちも知りたーい!」
「メモあげるから書いてぇ!」
あのグループに囲まれながら直紀は少し嬉しそうな顔をしている。
本当に、よかった。
心からそう思った。
クラスの中では目立つ方の、少しチャラい男女5人グループ。
その中にあのド天然なお調子者もいた。
あの人たち、優しそうだけど雰囲気ちょっと怖くて、話したことないんだよね…
直紀大丈夫かなぁ。
「ねえねえ、同い年の男って、なんて名前なのぉ!?」
「双子ってほんと!?てかどっちもイケメーン!」
「直紀、お前どこの学校から来た!?もしかして東京!?都会人キタァー!!」
「なあ、ライン交換しようぜ!あ、スマホ持ってる?」
少し漏れて聞こえてきた。
うわぁー、勢いがすごい…
さすが、あのグループ……
そういえば、もう1人の転校生、雅人も学校中で噂になり、情報が広がっている。
やっぱり雅人の苗字が斎藤っていうのは聞き間違えで、2人は双子らしい。
いろんな噂が流れているけど、噂のほとんどがイケメン転校生って話と、イケメン転校生が10人に告られたってことだった。
まあ、2人とも十分イケメンだもん。
顔は全く似ていない2人だけど、綺麗な茶色がかった瞳。少しふんわりした髪の毛。筋肉質な腕。大きな手の平。たくましい体。その全てが2人とも揃っていた。
10人から告白されたっていうのはどっちのことか、本当のことかわからないけど、この調子だとファンクラブができそうだ。
「ごめん、スマホ持ってない」
え………?
ぶっきらぼうに答えた声が聞こえた。
「え!まさかお前スマホ持ってきてねーの?あしたは持ってこいよなー」
「いや、ちがう…えっと、持ってない」
「…お前ケータイないの!?」
「あ……うん。ごめん」
この学校はほとんどの人が少し遠いところからきている人ばかりで、ケータイを持ってる人ばかりだった。
「なんだぁー、そっか、なんか……俺こそごめんな」
「いや…」
……あたし、雅人に追加してって言われて追加したよね…?
持ってないってどういうこと?
ますます疑問が増えた。
それも、あとから聞いてみよう。
それにしても……
この学校に転校してくるなんてラッキーだな。
…ふと思った。
この学校はいじめなんて絶対にない。
ケンカすらめったにない学校なんだ。
きっと、他の学校だったらスマホ持ってないと避けられたりしたかもしれない。
でも、今だって…
「なら、イエデンくらいはいいだろ!?いつでもかけれるし!」
「あ、うちも知りたーい!」
「メモあげるから書いてぇ!」
あのグループに囲まれながら直紀は少し嬉しそうな顔をしている。
本当に、よかった。
心からそう思った。