あの時手が伸ばせたなら。

あたしの友達

「行ってきまーす!」


いつものように家を出た。


桜はとっくに散り、もう緑色の葉っぱが生い茂っている季節。


あたしは今日も部活の朝練のために早起きした。


少し寝坊したけどいつもの電車に乗れた。


「あっ!美月ー!!おはよっ!」


「りりちゃん!おはよう!みほちゃんとみきちゃんも!」


「おはよう」


「おっはー!」


いつも降りる駅のホームには、3人の友達がいる。


天然でふわふわした小林梨々香ちゃん。


おとなしくて内気な篠田美穂ちゃん。


元気で明るい山田美希ちゃん。


みんな吹部で、リリちゃんはアルトサックス、みほちゃんはクラリネット、みきちゃんはホルンをやっている。


仲良くなって以来、みんながたどり着くこの駅で集合してみんなで学校までいくようになった。


1年生の頃はみんな同じクラスだったんだけど、今はみんなバラバラになっちゃった。


「美月!いこー!」


おーい、と美希が手を振っている。


「ごめん!いま行く!」


あたしは急いで3人のもとに走った。
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