君を愛さずには いられない
「佐竹さん。」

俺はハンドルを握って前方を見ていた。

「今度の週末お時間ありませんか?」

彼女は唐突に切り出した。

俺は時間なら売るほどあると言いたかったが

プライドがあるからその言葉を飲み込んだ。

「何か用か?」

「両親がホームパーティーを開くのでぜひ来てほしいと言っています。」

「ホームパーティー?」

俺には馴染みのないものだ。

「もしご都合がよろしかったらご一緒できませんか?」

俺は構わないと即答したかったが

河村がいつもいない土日に親の家に行っていることがわかり

内心安堵している自分に腹が立っていた。

「ご無理でしょうか?」

俺は気を取り直して言った。

「行ってもいいが、なぜ俺が呼ばれるんだ?」

素直に行ってみたいと言えたらと思う自分にまた腹が立った。

「上司を招待するのはこちらでは普通のことです。」

「わかった。」

「ありがとうございます。きっとママンも喜ぶと思います。」

俺は彼女の弾んだ声に目の端がゆるみそうになるのを必死でこらえた。

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