君を愛さずには いられない
「ジン、シホは誰にでも好かれるけれど、誰にも束縛できないタイプよ。」

キャシーは分析するのが得意なようだ。

「そうかもしれない。」

「ジンは恋愛に長けていると思うから率直に言うけど、シホを好きになったらダメよ。」

「なぜそう思う?」

俺はキャシーの青いガラスのような目を見つめた。

「彼女を愛すならそれと同じくらい彼女を自由にできる包容力が必要だと思うから。」

「それは間違っても俺にはない。」

「そうなの?」

「俺は大失恋の経験者だ。恋人を作る余裕はない。」

「失恋のお相手は歳上だったでしょ?」

「ああ。」

「それってとてもラッキーなことだと思うわ。」

「ラッキー?」

「ジンは過去に大人の女性を愛して、そして苦しんだ。そうなのね?」

「ああ。」

「それならこれからは対等な目線で付き合える女性を好きになれるわ。そう思わない?」

「そうだな。そうかもしれない。」

キャシーはいきなり俺の頬にキスをした。

「私はあなたをあきらめるわ。あなたの心の中にはもう誰かがいるみたいだから。」

彼女の言葉は最後につぶやき声になり

何を言ったのか俺にはわからなかった。

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