君を愛さずには いられない
「佐竹さん、聞いてもいいですか?」

志穂は佐竹のとてつもなくクールな横顔に恐る恐る問うた。

「河村。」

いきなり呼び捨てだ。

彼女は引き釣った笑顔でおずおずと返事をした。

「はい。」

「おまえ、なんでここに応募したんだ?」

今度はおまえ呼ばわりだ。

今の質問はこれからの業務に関係があるのだろうか。

まさか不採用の連続だったとは言えないし

かと言って特別に選んだ理由を今は言いたくない。

何か言わないとマズい雰囲気だ。

「それは残業がなく定時で上がれるからです。」

現にこの会社は残業ゼロとホームページでうたっていた。

志穂は間違ったことは言ってなかった。

「なるほど。」

次に何を聞かれるだろうか。

新人に対して何か気に食わないことでもあるのだろうか。

「他には?」

そう聞かれても志穂は何も思い浮かばなかった。

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