クールな御曹司はウブな彼女を乱したい〜抱き尽くされる溺愛初夜〜
「私……本当にお姉ちゃんのこと知らなかったんだ」

車の中で険悪な状況で別れたけど、最後に見た姉の顔は寂しげだった。

「楓さんも杏の前では憧れの姉でいたかったんじゃないかな。あの結婚はビジネスだって皮肉を言ったけど、あのふたり……純粋に好きで結婚するのかもしれない」

永遠が何か考え込むようにそう言うと、私達は目的地の近くに行くまでそれ以上は話さなかった。

四十分ほど車に乗っていると、よく見慣れた風景が目に飛び込んで来て私は狼狽えた。

「永遠……まさか……実家に向かってるの?」

「そう。俺の実家ね。俺の両親が杏に会いたがってる。残念ながら、杏のご両親は今日は仕事で時間が取れなかったけど、電話で杏にプロポーズしたことは伝えた。とても喜んでくれたよ」

……寝耳に水の話に私は慌てた。
< 243 / 309 >

この作品をシェア

pagetop