クールな御曹司はウブな彼女を乱したい〜抱き尽くされる溺愛初夜〜
「お姉ちゃんの前では絶対に喧嘩は駄目ですからね」

私が念を押すと、ふたりは真剣な表情で頷いた。

「ごめんね、杏ちゃん。永遠が嫉妬で顔を歪めるのが見てて楽しくって」

……湊さんってホントいい性格してるな。

「湊さん……それは悪趣味ですよ」

湊さんをやんわり注意すると、彼はフッと笑った。

「まあ、普段永遠がなかなか弱味を見せないからなんだけどね。これ以上待たせると、楓が怒りそうだから行こうか」

湊さんがチラリと腕時計に目をやると、再び私達は歩き出した。

お姉ちゃんは入籍発表後も五月末までドラマや映画など精力的に仕事をこなし、五月末に突然芸能界引退を発表した。

入籍同様何も聞かされていなかった私は、姉の引退を夜のニュースで知って驚いた。

一緒にいた永遠と呆気に取られながらテレビを見ていて……。

あれだけプライドを持ってやっていた女優という仕事を突然辞めたことが不思議でならなかった。
< 261 / 309 >

この作品をシェア

pagetop