クールな御曹司はウブな彼女を乱したい〜抱き尽くされる溺愛初夜〜

「こら、楓！」

湊さんが割って入ろうとするが、姉は構わず続けた。

「私はね、残された余生を楽しく過ごしたいの。もちろん、家族にも明るく過ごして欲しい。だから、杏、私と湊の代わりにフィレンツェに行って式を挙げてきてくれない？私ね、身体がこんなんじゃなければフィレンツェで式を挙げたかったの。湊と初めて海外旅行した想い出の場所なのよ」

「……お姉ちゃん、無理だよ。こんな状態なのに……」

私は唇を噛み締めながら頭を振った。

「それを言い訳にされるのが一番嫌なの！」

姉はムキになって声を荒げたが、すぐにゴホゴホっと咳き込んだ。

「楓！そんな声を出しちゃダメだよ」

湊さんがやんわりと姉を注意しながら、彼女の背中を優しくさする。

「……おね……がい……よ」

胸を押さえながら必死の形相で姉は私に懇願する。