クールな御曹司はウブな彼女を乱したい〜抱き尽くされる溺愛初夜〜
「会社で遭難はしないでね。念のためGPSでもつけておこうか?」

『遭難』ってそんな大袈裟な。あっ……でも私なら可能性があるか。

この敷地内には古墳もあるらしい。三年前に敷地の奥に倉庫を建てようとして発見したらしいけど、軽い気持ちで探検なんてしたらきっと遭難する。

「いえ……そこまでは。でも、今度から社内の地図を持ち歩くようにします」

「地図読めたっけ?」

永遠の冷ややかな突っ込みに私は言葉を詰まらせた。

「うっ……」

「地図が動いてどこにいるのかわからないって、過去に大泣きしてたのは誰?」

「……はい、私です」

小さく手を上げ答える。

『地図が動く』とは私の名言ならぬ迷言。
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