cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「いや、心ちゃんの事だよ」
びっくりしてツネさんを見ると、ちょっと照れたようにハニかんでいた。
それにつられて、何だか私も照れてしまった。
「可愛い?私が?」
「うん!
今俺がこんな姿じゃなかったら抱きしめたいくらい」
確かに今ツネさんは、体の自由がきかない状態だ。
思わず吹き出して笑った。
「ありがとうございます!」
私の様子が変だったの気付いて、きっと元気づけてくれたんだね。
「あ、旭には内緒な!
あいつ心ちゃんの事だと、俺らにも厳しいから」
髭とドレッドヘアの似合うツネさんは意外と小心者。
そのギャップがすごく可愛くて、笑いを堪えて答えた。
「はーい!」
そんなこんなで、千草ちゃん達が帰って来た頃には、すっかりツネさんと仲良くなっていた。
「あ、お帰りー!」
何故かミサキちゃんが、まじまじとこっちを見ている。
「何?」
私が尋ねると、ハッとしたようにミサキちゃんが顔を逸らした。
「…別に?」
何なのよ?!
「はいココロ!
焼きそば半分こしよー!」
千草ちゃんが発泡スチロールのパックを見せる。
「…私もうひと泳ぎしてくるから、食べちゃってて」
「ちょっ…心ちゃん!」
ツネさんの声を振り切って、走りだした。
ごめんねツネさん。
せっかく笑わせてくれたのに。
やっぱりミサキちゃんの前だと、居づらいの。