cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】


「いや、心ちゃんの事だよ」


びっくりしてツネさんを見ると、ちょっと照れたようにハニかんでいた。


それにつられて、何だか私も照れてしまった。


「可愛い?私が?」


「うん!
今俺がこんな姿じゃなかったら抱きしめたいくらい」


確かに今ツネさんは、体の自由がきかない状態だ。


思わず吹き出して笑った。


「ありがとうございます!」


私の様子が変だったの気付いて、きっと元気づけてくれたんだね。


「あ、旭には内緒な!
あいつ心ちゃんの事だと、俺らにも厳しいから」


髭とドレッドヘアの似合うツネさんは意外と小心者。


そのギャップがすごく可愛くて、笑いを堪えて答えた。


「はーい!」


そんなこんなで、千草ちゃん達が帰って来た頃には、すっかりツネさんと仲良くなっていた。


「あ、お帰りー!」


何故かミサキちゃんが、まじまじとこっちを見ている。


「何?」


私が尋ねると、ハッとしたようにミサキちゃんが顔を逸らした。


「…別に?」


何なのよ?!


「はいココロ!
焼きそば半分こしよー!」


千草ちゃんが発泡スチロールのパックを見せる。



「…私もうひと泳ぎしてくるから、食べちゃってて」


「ちょっ…心ちゃん!」


ツネさんの声を振り切って、走りだした。


ごめんねツネさん。


せっかく笑わせてくれたのに。


やっぱりミサキちゃんの前だと、居づらいの。






< 114 / 214 >

この作品をシェア

pagetop