cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
ブルーハワイは涙味
二人で砂浜を歩いた。
黙ってミサキちゃんの後ろをついていく。
…いつから、こんなに背が高くなったんだろう。
程よくついた筋肉。
今まで意識した事なんて無かったけど、ミサキちゃんはやっぱり男の人なんだ。
今更ながら、ぼんやりと実感した。
「あ、かき氷食べる?」
ミサキちゃんが指差す先には、カラフルな看板。
「…うん」
何味がいいかは聞かれないまま数分待つと、ミサキちゃんが両手にカップを持ってやって来た。
そして青色のシロップがかかった方を、私の方に伸ばす。
「ありがと。」
「そこに座りましょ。」
そうして日陰になっている木の下へ座り込んだ。
相変わらず沈黙が流れたので、ストローのスプーンで氷を口に運んだ。
シャリシャリとした氷の食感が口に広がり、喉を通ると、火照った体がじわじわと冷やされていく気がする。
口を動かしながら、目だけ動かしてミサキちゃんを見る。
盗み見ってやつだ。
ミサキちゃんは黄色のシロップがかかったかき氷を食べながら、ぼんやりと前に広がる海を見ていた。
ストローを持つ、その指の長さについ見とれてしまう。
あ…ミサキちゃんがこっちを見るまで、
5、4、3、2、1…
‐パッ!
ナイスタイミングで目線を戻した。
意識してみると、ミサキちゃんが動くタイミングが何となーくわかる。
幼なじみの勘ってやつだ。
「美味しい?」
「うん。」
ドキドキしながら頷く。
「アンタ昔からその味好きよね」
ミサキちゃんがぽつりと話す。
「うん、ミサキちゃんだっていつもレモンじゃん」
「まーね」
ちなみにお兄ちゃんは、意外とイチゴが好きなのよね(しかも練乳入り)。
まだ私が小学生の時、お祭りとかプールでかき氷を食べる度に、三人で舌の色を見せあって笑っていた。
懐かしいな。