cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】


「どうゆう事?」


そう呟いたのは、私じゃなかった。


ハッとして振り向くと、そこには千草ちゃんが立っていた。


「アンナちゃんって誰?」


私もまだ混乱している頭で、どう説明していいかわからなかった。


「知らなかった…ミサキ、好きな人いたんだね。」


ぼんやりと呟やく彼女の目には、涙は無かった。


なんでだろう。


胸が痛いよ。


「…ココロ?」


千草ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込む。


そして呟いた。


「…ココロも、ミサキの事好きなんだね。」


好き?


私がミサキちゃんを…?


「だって…泣いてるよ?」


ぽとぽとと頬を伝って、かき氷のカップへと落ちていく液体。


何で涙が出るのかは自分でもわからない。


でもこれが汗とか、海水なんて言い訳がきかない事はわかる。


私は確かに泣いていた。





< 123 / 214 >

この作品をシェア

pagetop