cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
2人で砂に穴を掘った。
そこにカップをひっくり返し、ブルーの液体を流し入れる。
最初は水溜まりみたいになっていたが、やがて砂にじわじわとしみ込んでいく。
「私、諦めないよ。」
ぽつりと千草ちゃんが話す。
顔を上げると、彼女はすっかり泣き止んでいた。
それどころか笑顔を見せている。
「さっきの話じゃーミサキの片想いみたいだし、可能性は0じゃないもの!」
「え?」
「よく考えたら、女の子を好きってゆう時点で前進よね!」
と納得したようにうんうん、と頷くポジティブな彼女。
さすがはミサキちゃんの血筋。
「うらやましいな。」
「えー何が?」
「ううん、なーんかカッコいいなって思って。」
「何それー」
あははっと笑う、その表情はどこかスッキリしていた。
そんな彼女に思い切って、切り出した。
「私もやっぱりミサキちゃんの事、諦められない。」
すると、千草ちゃんが唇の端を上げて笑った。
わざと気取ったような口調。
「当然でしょ?」
そうだよね、諦めなくてもいいんだ。