cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
恋模様
そこからはよく覚えてない。
焦った杏奈さんの表情と、目線を合わせないミサキちゃん。
誰がどう見ても、ただならぬ雰囲気が伝わっていた。
何、2人ってそうゆう関係なの?
聞きたくても怖くて聞けなかった私は、逃げるように部屋に戻った。
ミサキちゃんは追いかけてこなかった。
ベッドにダイブし、思いっきり目をつぶる。
今のは見間違えなんだ、と思おうとするけど、うまくいかない。
そしてしばらくして聞こえた、ドアと鍵の閉まる音。
私はそれを、ただベッドの中で聞くしか出来なかったんだ。
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「…食わねーの?」
声をかけられて、顔を上げる。
いつもと変わらない、お兄ちゃんの素っ気ない声。
それが逆に胸が痛んだ。
もし、さっきの2人をお兄ちゃんが見たら
どんな気持ちになるだろう。
「…食べるよ」
と言っても、せっかく作った夕食も味がよくわかんない。
うちで食べて行くと言ったミサキちゃんは、どうしてるんだろう。
杏奈さんと一緒なのかな…。
想像しただけで苦しい。
こんな想い、お兄ちゃんにはしてほしくないよ。
…決めた。
怖くても、知らないフリをしてちゃ駄目だ。
確かめなきゃ。