cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「ふふっ…」
不意に笑い声が聞こえて、顔を上げる。
「心、アンタそんな事言いに来たの?」
シフォンケーキみたいな、ミサキちゃんのふわっとした笑顔に、張り詰めていた私の気持ちも少し和らいだ。
この前みたいに、『関係ない』って言われるかと思ったから…
「ありがとう」
「え?」
「心配してくれたんでしょ?」
「う、うん…」
嘘。
ホントは不安だったからだよ。
ミサキちゃんが本当に杏奈さんを好きなのか。
「そうよね、遠慮しなくてもいいわよね。」
ズキン、と胸が痛む。
「…どうするの?」
喉が乾いて、うまく喋れない。
「どうもしないわ。
今までどおり、ただ好きでいるだけ。」
そう言って笑ったミサキちゃんの顔が、どこか切なそうで泣きそうになった。
ミサキちゃん。
私はミサキちゃんみたいに、なれないよ。
好きな人に好きな人がいて、それでも変わらず好きでいられるなんて…
「ミサキちゃんはスゴいね。」
「何よー、からかわないでくれる?」
ううん、本当にそう思うよ。
でも、すごく苦しい。
そんなミサキちゃんが私は好きなんだ。
報われないのに。
バカみたいかな。