cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「ご注文お決まりですかー?」
「キャラメルフラペチーノ2つ。トールサイズで」
明日香のおごりだという事を良いことに、普通に好きな物を注文する。
赤いランプの下でフラペチーノの出来上がりを待っている間、ちらりと後ろを見た。
ミサキちゃんと杏奈さんの座るテーブルの、左斜め端のテーブル。
お店に置いてあるフリーペーパー雑誌を顔の前に広げ、チラチラと様子を伺う明日香。
他人がよく見たら明らかに不審者だ。
はぁ…とため息をついた。
何やってんだろう、私。
「お待たせしました!」
注文の品を受け取り、ミサキちゃん達と目が合わないようにトレーに視線を落とし、慎重に明日香のいるテーブルに向かう。
「ありがとう」
相変わらずミサキちゃん達をガン見したまんまだけど、明日香が呟いた。
明日香にお礼を言われるなんて、何だか慣れてなくて、こそばい。
「こちらこそ、ご馳走になります。あの、キャラメルフラペチーノで良かったですか?」
何でもいいから、と言われたものの…甘いの苦手だったらキツいよねこれ。
「あの女、確か斎藤君の彼女って言ったわよね?」
無視かい!
まぁ、生クリームパクついてるから大丈夫なんだろう。
「うん…」
「てゆう事は友達の彼女…そんな2人が何してるのかしら?」
「さぁ…」
それよりも、こっちを見ないでフラペチーノを飲みながら2人を観察する明日香に寒い物を感じる。
流されて付き合ってしまったものの、これってストーカーじゃ…?
えーん、帰りたいよー