cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
そんな私に、もちろんお構い無しで、明日香が(小声で)叫ぶ。
「ちょっと!何なの、あのいい雰囲気は!」
私も気になって、腰をひねり骨を鳴らすとゆう自然な(?)演技をしながら後ろを見る。
そこには、照れたような笑顔を浮かべる杏奈さんと、そんな彼女を優しく見つめるミサキちゃん。
ずきん、
心臓が痛い。
あの表情は私、よく知ってる。
だってあれは…
『心ー、帰りにケーキバイキング行かない?』
『もー、しょうがないわね』
だって…あれは私によく向けられる表情だから。
『ねぇ心…僕ね…』
今よりもずっと幼いミサキちゃんの姿…声…。
「あれ、心ちゃん?」
意識が過去の記憶に飛んでいきそうになった時…
聞き覚えのある声が聞こえた。
「ツネ…っ(さん)!」
思わず声を上げそうになった口を押さえながら、声の主を呼ぶ。
ツネさんも切れ長の瞳で不思議そうに、私達を見つめている。