cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「ちょっと、常光君も隠れてよ!」
明日香が手を上下に動かし、伏せの合図をする。
「はぁ?」
怪訝な顔を浮かべながらも、私の隣に座るツネさん。
「で、どうゆう事?
この組み合わせからして、状況が理解出来ないんだけど…」
私達を交互に見ながら、ツネさんが尋ねる。
「実は…」
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「ふーん…、ミサキ達がねぇ…」
ツネさんもちらりと後ろを確認しながら、呟いた。
「それで覗き見?」
呆れたように、ため息をつく。
改めて自分たちの行動を振りかえると、かぁっと顔が熱くなる。
「…ごめんなさい」
恥ずかしくて、蒸発しそう。
「あ、心ちゃんはいいんだよ!どうせ、こいつに無理やり連れてこられたんだろ」
「はぁ…」
「何よ、人聞き悪いわね」
むっとした表情で明日香が返す。
「事実だろ。ったく…ストーカー行為は1人でしろよな」
「ストーカーですって?」
揉めだす2人を押さえる為に、話題を変える。
「で、でも私も気になって…ツネさんは、2人がどうゆう関係か知ってるんですか?」
まさか、私が突っ込んだ話をしてくると思わなかったんだろう。
不意をつかれたツネさんは、気まずそうな表情を浮かべた。
「心ちゃんに聞かれたらなぁ…」
「お願い、ツネさん。」
うるうると、すがりつく犬みたいな目をイメージしてツネさんを見つめる。
「…しょうがないな。
俺って、心ちゃんに弱いんだよな…」
頭をかきながらうなだれるツネさんを、横目で睨む明日香。
そりゃ自分とこんだけ違う態度とられたらムカつくよね。
ここにきて、明日香に少し同情した。