cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「たぶんミサキは、杏奈ちゃんに惚れてたんだ。」
ツネさんが口を開いた。
知ってたけど…いざ聞くと、辛い。
現実をつきつけられた気分。
「本人から聞いた事は無いけどさ、俺達は最初、ミサキと杏奈ちゃんが付き合うもんだと思ってた。
けど突然、旭が杏奈ちゃんと付き合う事になったって聞いたから、思ったんだ…ミサキは身をひいたんだって。」
「何で…?」
「それはわかんないけど…友情を取ったんじゃん?」
『今までどおり好きでいるだけ』
この前のミサキちゃんの言葉…
「じゃあ何で今になって、こそこそ会ってる訳?!」
必死な明日香に、ツネさんが呆れ顔。
「こそこそって…別にお茶くらい、よくね?
やましい気持ちがあるんだったら、もっと人目につかないとこ行くだろ。」
確かに…
現にもう、顔見知り3人に目撃されてるんだもんね。
「ミサキはちゃんと、友達の彼女として接してるんだと思うけど?
…わかったらもう帰ろうぜ。
何か、今更ながら罪悪感が…」
ツネさんが頭に手をやる。
「そんな、それじゃミサキ様がかわいそう…」
明日香…
涙目になっている明日香を見て、胸がつまった。
ほら、強盗事件で人質にとられた被害者が、同じ空間の中にいる犯人を好きになっちゃうってやつ…
状況は全然違うけど、そんな感じで、今まで『大っ嫌い』だった明日香に対して、ほんの少しだけ好感を持ったみたい。