cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】


割と花火がよく見える穴場スポットに、二人分のスペースを確保し、持ってきていたシートを広げる。  

その狭い場所に座り込むと、二人の肩が少しだけ触れ合った。


生ぬるい夏の夜風が、頬をかすめる。


しばらくはお互いの夏休みについての話に花を咲かせていたけど、花火の打ち上げ合図の音が鳴ると、自然と口を閉じた。


ひゅるるる、という打ち上げ音にみんなの期待が高まり


胸に響く破裂音。


そして夜空を彩るまばゆい光の花輪に、会場中から歓声が上がる。


繰り返される音と光のハーモニーが心地よい。


こうやって、頭を空っぽにして花火を見ている間だけは、ミサキちゃんを忘れられる気がする。


紺野君の隣にいながらも、そんな事を思う自分が少し、後ろめたかった。










< 198 / 214 >

この作品をシェア

pagetop