cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】

あれ、


何か変だな。


花火の音が遠い。


「ろ、」


え?


「、こころっ!」


手に感じる温かな感触に、意識が少しだけ戻ったような気がした。


「紺野…く…」


「大丈夫か!?

めっちゃ熱いやんけ!」


おでこに手を当てながら、紺野君が青ざめている。


「大丈夫…微熱だよ」


「アホっ!
変な気ぃ使うなや!

帰るでっ!」


ぐいっと、手を引っ張られて立ち上がると、予想以上に足元がふらついていた。


「ほら」


「え?」


「乗って」


見ると、紺野君がしゃがみながら、こちらに両手を差し出している。


「え、無理無理無理!

重いもん」


こんな時でも乙女心はあるのです。


「こら、バスケ部なめんなよ!
心の1人や2人、担げるっちゅうねん!」


少しムッとしたみたいで、紺野君が意地になってしまった。


…まさかこれは、もう選択肢無しですか?


「ほら、早く」


急かす紺野君の背中に、躊躇いながら触れる。


その筋肉質な体に、今更ながら、男の子なんだと感じた。






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