cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「そんな可愛い顔せんとってや。言いだしづらくなる。」
「紺野君…?」
しゅん、となる紺野君が気に掛かった。
「それ、俺からじゃないねん。」
「え?」
「預かってん。
心が今日ホンマに過ごしたかった人から…自分の代わりに渡してくれって。」
思わず家のドアを振り返り、ハッと我にかえった。
紺野君の前で、何をやってるんだろう。
「ええねん」
顔を上げると、紺野君はびっくりするくらい優しい顔をしていた。
「それで、ええねん」
「だって…何で?!」
何で私なんかに、そこまで優しくしてくれるの?
出会って間も無い、こんな私に…
「俺は、心が笑ってるとこが見たいねん。
それだけや。
だから、早く仲直りしぃ」
きっと、
彼がその言葉を言い終えるのと、私がその腕に飛び込んだのは、ほぼ同時だったと思う。