cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
事の始まりは、夏休み明けの始業式の日だった。
「ねーねー、よっちゃん!」
クラスメイトの君原佳奈子が隣から、身を乗り出してきた。
「ん?」
「知ってる?
斎藤君の妹とさー、バスケ部のイケメン君が付き合い始めたんだって!」
「あー、あぁ…そうなんだ。」
相槌をうちながら、周りを伺う。
ミサキは席離れてるから、今の会話は聞こえてないし、
旭は…まだ来てない、っと。
よしっ、続きを聞こう。
「マジで?」
「マジ、マジ〜っ!
花火大会で2人が手つないでるとこ、何人も見たんだって!
今日も仲良く、2人で登校してきたしね!」
「へぇー」
「今ごろファンは泣いてるだろうねー、モテるって大変だぁー」
「つーか、そのイケメンってどいつよ?
そんなに男前な訳?」
聞いてないぞ、そんな話。
まぁ、わざわざ俺には言わねーだろうけど。
だけど、お兄ちゃん3号としては、相手がどんな野郎か気になるってもんだ。
「知らないの?
紺野千明ってゆう、一年。
イケメンが転校してきたって、大騒ぎだったじゃん。」
「それは女だけだろーが。
まぁ、でもそう言われてみれば、そんな奴もいたような気がするな。」
確か、ミサキが嬉しそうに話していた気がする。