cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】



事の始まりは、夏休み明けの始業式の日だった。


「ねーねー、よっちゃん!」


クラスメイトの君原佳奈子が隣から、身を乗り出してきた。


「ん?」


「知ってる?
斎藤君の妹とさー、バスケ部のイケメン君が付き合い始めたんだって!」


「あー、あぁ…そうなんだ。」


相槌をうちながら、周りを伺う。


ミサキは席離れてるから、今の会話は聞こえてないし、


旭は…まだ来てない、っと。


よしっ、続きを聞こう。



「マジで?」


「マジ、マジ〜っ!
花火大会で2人が手つないでるとこ、何人も見たんだって!
今日も仲良く、2人で登校してきたしね!」


「へぇー」


「今ごろファンは泣いてるだろうねー、モテるって大変だぁー」


「つーか、そのイケメンってどいつよ?
そんなに男前な訳?」


聞いてないぞ、そんな話。


まぁ、わざわざ俺には言わねーだろうけど。


だけど、お兄ちゃん3号としては、相手がどんな野郎か気になるってもんだ。


「知らないの?
紺野千明ってゆう、一年。
イケメンが転校してきたって、大騒ぎだったじゃん。」


「それは女だけだろーが。
まぁ、でもそう言われてみれば、そんな奴もいたような気がするな。」


確か、ミサキが嬉しそうに話していた気がする。





< 207 / 214 >

この作品をシェア

pagetop