cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
ところが、次の休み時間。
「やだー、ヨシオったら!」
いつも通りのハイテンションな声が聞こえ、俺は思わず力が抜けた。
「…ミサキ。」
心配した俺がバカみたいだ。
ミサキは、俺の冷ややかな視線を無視して、
「ボタン!
取れかかってるわよ?」
と自分の袖口を指差しながら、俺に示す。
「…あ。」
見ると、本当にボタンが取れかかってる。
「貸して。」
そう言うなり、俺のジャケットを脱がしにかかる。
「いいよ、自分で脱ぐ!」
「もー、照れなくていいじゃない!」
「照れてないっ!」
そこは否定しながら、ジャケットを渡した。
ミサキはどこから用意したのか、ソーイングセットを取り出した。
コイツのこうゆう乙女な部分に、いちいちツッコんでいたらキリが無い。
「すぐ終わるから、待っててねー!」
とニッコリと笑う姿は、まじイケメンなのに…。
見た目と、中身のギャップがあり過ぎる。
世の中、うまくいかないものだ。
でも、ミサキは普通にモテる。
ムカつく事に、ファンクラブまであるくらいだ。
そこで会長の顔が浮かんで、更にムカムカした。