cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
今日のお弁当はハッキリ言って、自信作。


だからお兄ちゃんにも食べて欲しかったのに…

何で忘れるかなぁー全く。

あれだけ『お弁当持った?』って言ったのに…


今日は杏奈さんがいつもより早く学校に行くらしく、それと合わせてお兄ちゃんも早く家を出た。


よっぽど杏奈さんと会いたかったんだろうなーラブラブです事。


そんな訳で
忘れて行かれた可哀想なお弁当を無駄には出来ず、持って来てあげた優しい妹。


そうだなぁ…デザートのアイスで許してあげよう。


そう企みながら、3年の教室への階段を上った。


トイレを通った時に、ちょうど見覚えのある数人の女子生徒が出てきた。


気分最悪。


アイスはハーゲンダッツにしてやろう。

お兄ちゃんに八つ当たりする。


「あら心ちゃーん、こんにちは」


グループの中心人物で私の天敵・橘 明日香が、ご自慢の巻き髪を後ろに払いながら、気取って話す。


「…こんにちは橘先輩」


一応先輩だからね、とりあえず挨拶は返しておこう。


「3年の教室に何かご用?」

関係ないでしょ?!

と言いたいのを何とか堪えた。


「お兄ちゃ…兄の忘れ物を届けに来ただけです。
…あの、通してもらえます?」


早く通り過ぎたいのに、いつの間にか囲まれてしまっている。






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