cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「痛いわね!何すんのよ?!」


はぁ?

元はといえば、あんたが無理やりお弁当奪おうとしたからでしょ。


「自業自得だと思いますけど」


明日香の目の奥に怒りの炎が浮かんだように見えた。


あ、ヤバイ。


そう思った時にはもう遅く、

‐‐‐バシッ!

明日香の振り上げた手が勢い良く当たると、油断していた私の手元から、抱えていた物が滑り落ちた。


コンクリートの衝撃音と、プラスチックの頼りない音。

それと同時に

朝はあんなに綺麗に盛り付けていたご飯もおかずも

お弁当箱が傾いた方に寄ってしまい、ぐちゃぐちゃになっているのが透明の蓋から見えた。


わずかに開いた蓋との隙間からは、ご飯がのぞいている。


……………


その場の誰もが足元の被害者を見つめている。


そんな沈黙が流れている中、


私の頭は冷静に、でも確実にキレていた。



‐‐‐バシッ!


明日香が頬を手で押さえ、
信じられない、という表情でこっちを見ている。



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