cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】

「橘」


急に呼ばれた明日香がびくびくしている。


この人あれだ、チワワに似てる。

スッキリ。

ずっと何かに似てると思ってたんだ。


「…ごめんな。こいつ誰に似たのか、カッとなりやすい性格なんだ」


旭に似たんでしょ、とツッコミたそうな様子のミサキちゃん。

だけど今はお兄ちゃんの言葉どおりに黙っている。


「心、ほらお前も謝れ!」


えー


「ほら早く」


まぁ…殴ったのは悪かったかも


てゆうか、普通に考えて私が悪い?


今更ながら反省した。


「…ごめんなさい。」


やや渋々ながら頭を下げる。


「つー訳で、許してくれる?」


ニッコリと笑ったお兄ちゃんにつられるように、明日香が頷く。


たまにお兄ちゃんには催眠術か詐欺の才能があるんじゃないかって思う時がある。


「よし、じゃあ橘も謝ってくれ」


「え?」


「言わなかったっけ?これ、俺の弁当なんだよね」

低めのトーンで話すと、さっきと同じ笑顔を浮かべる。


「謝って?」



やっぱりこの人には何か、魔術でもかかっているんだろうか。



「…ごめんなさい」


全然理屈なんか通ってないのに、周りはみんなお兄ちゃんの言いなりになる。


こうゆう人が独裁国家を作るんだろうな。


急に未来の花嫁候補・杏奈さんが心配になってきた。




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