cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「いつも聞くけどさ…」
「うん?」
「あいつのどこがいいの?」
「えーかっこ良いじゃん!」
「いや顔じゃなくて。だって…あんななんだよ?」
「んーミサキさんって…まぁ中性的なんだけど、がさつな男子には無い優しさにグッとくるんじゃない?」
栞が冷静に分析する。
「そう…じゃあ私もがさつな男子レベルって事ね…」
「わわわ」
大げさに病んでみた私に、友人達が慌てる。
「あっそういえば!明日うちのクラスに転校生がくるんだって!」
学校一の情報通、アユミが声をあげる。
「しかも男子!」
「マジ!?イケメン!!?」
私そっちのけで盛り上がる友人達…いいけどさ
「そこまではわかんないけど…でも心、新しい出会いだよ!」
アユミが明るく声をかける。
みんな心配してくれてるんだよね…元気、出さなきゃ
「うん!楽しみにしてる!かっこ良い人だったらいいね」
「けど心の基準ってさ…」
「ハードル高いよね」
「あんな美兄とかっこ良い幼なじみに囲まれて育ったんじゃー仕方ないって」
「かわいそうに…」
友人達がそれぞれ勝手なことを呟いている中、私はぼんやりと思い出していた。
私が転校してきた日の事を。