cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「えー!
心がいなきゃつまんない!」


桃は私以上に子どもっぽい性格。


でも見た目は超可愛いから、無自覚に男の子をその気にさせる。


いわゆる小悪魔だ。


「アユミとか栞も行くんでしょ?
私が行かなくても…」

「ダ・メ!
みんなで行くから楽しいんじゃん!ねっ、行こう?
絶対楽しいって」


うっ…

そんなキラキラした目で見つめないで…


やっぱり美形に弱い私。


「それじゃあ私、英語の追試があるから…それ終わってからなら行こうかな」


「オッケー!」


ピースサインを作って去って行く桃。


ふんわりといい香りがする。


お気に入りのヘアコロンなんだって。


「あー海かぁ」


栞が嬉しそうに目を細める。


「栞、海好きなんだ?」


ちょっと意外。


日焼けすんの嫌そうなのに。


「海ってゆうか、水着の男の子が好きなの」


「…そうなんだ」


相変わらず同じトーンで話すから、『私、読書が好きなの』とでも言ったのかと思った。


「あーあ、せっかくここからプール見えるのに、来週から夏休みだなんて…海で目の保養するしかないわね」


どうやらさっきのは聞き間違えではないらしい。


「栞って…何部だっけ?」


「水泳部」


…なるほど。






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