cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「趣味悪いかな?」
え。
私、口に出してた?
びっくりして千草ちゃんを見ると、苦笑いを浮かべていた。
「日本に帰ってきて、1週間。
ミサキが私の事なんて妹みたいにしか思ってない事には、とっくに気付いてるわ。」
静かに、でもハッキリとした口調で言う。
「それでも好きなの」
それを聞いて、はっとした。
私はそれほどまでに、誰かを好きになった事あるかな?
答えはノーだ。
フラれて傷付いて、すぐに逃げ出してたじゃん。
さっきの自分の言葉に照れたように微笑みながら、ストローでレモンをつつく千草ちゃん。
そんな彼女を見つめて、私もグラスに手をのばす。
放置していたソーダを飲むと、
すっかり炭酸が抜けていて何だかやるせなくなった。
こんなにも真っすぐで綺麗な気持ちが、何で報われないんだろう。