◆Woman blues◆
「いい加減に僕にちゃんと自分を見せてください。僕と夢輝さんとの間で遠慮なんて嫌なんです。
もちろんこういうコトだけじゃなくて……どんな事でも」

太一は一旦そこで言葉を切ると、適度に節だった指で、私の唇をスルリと撫でて続けた。

「ちゃんと言わないと、凄く恥ずかしいめに遭わせますけど……」

言い終えると悪戯っぽい笑みを浮かべて、太一は頬を傾けた。

「この間は随分手加減しましたけど、いつもああだと思わないでください」

「……!」

先日、太一とセックスした記憶が蘇った。

あの時の太一は、一言で言うと凄く甘かった。

優しくて、優しくて。

こくんと喉を鳴らして、私は太一を見上げた。

「言ってみ、夢輝さん」

眼下に広がる谷底を、思いきり飛び越えるような気持ちで、私は太一を見つめた。

身体中が熱くなって、私は口を開けて太一の唇を奪った。

キスの合間に、殆んど息だけの声で彼に呟く。

「して、太一」

太一がいつになく妖艶な笑みを浮かべて熱っぽく私を見た。

「いいよ。……泣かせちゃうかも」
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