◆Woman blues◆
私は二度までも、この女性に愛する人を奪われるの?

耐えられない。

「夢輝さん……」

太一が息を飲んで私を見た。

もう、ダメだ。

私は身を翻すと元来た道を引き返した。

どこまでもどこまでも、私は惨めな女だ。

同じ女性に恋人を、二度も奪われるなんて。

いや、二度目はまだ確信じゃない。

この状況からして、もう間違いないだろうけど。

その時、私の脳裏に秋人の言葉が蘇った。


『 俺をその気にさせるだけさせておいて、『婚約破棄したの!?私はそんな重い関係望んでない。親が決めたんだけど、お見合いも控えてるし』なんて言いやがって 』

お見合い。

それって、太一とじゃないんだろうか。

確か彼女……リアナさんは秋人の勤めている会社『SLCF』の社長令嬢だって。

うちの会社とは取引があるし、次期社長である太一とSLCFの社長令嬢であるリアナさんがお見合いをするのは、不自然なことじゃない。

いや、逆に凄く自然なことのように思えてきた。

『太一』

正装した二人は凄くお似合いだったし、彼女は太一を親しげに呼んでいた。

と言うことは、もうお見合いだって済ました後なのかも。

私の知らない間に。
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