◆Woman blues◆
それから優しい笑顔で、

「大丈夫、大丈夫だよ」

「きゃああっ」

急にフワリと身体が浮いて、私は思わず彼にしがみついた。

「あの、あの私、」

「大丈夫だから、僕を信じて」

僕を信じて。

あなたを?

私は至近距離から男性を凝視した。

中高な上品な顔立ちで、優しく甘い瞳が凄く魅力的だ。

か……カッコいいし、可愛い。

穏やかな笑顔は、私の心をフワリと軽くしてくれた。

「信じて……いいの?」

彼の真意を見極めようとして、私は思わず問いかけたが、すぐにかぶりを振った。

多分秋人を疑い続けていたから、疲れていたんだと思う。

「ご、めんなさい、私、」

「信じていいよ」

男らしいのに可愛い彼が、クスッと笑った。

「もう、何の心配もない」

ツーッと涙の伝う感覚がした。

何の心配もないと、ずっと言って欲しかったから。

そう、ずっと前から。

急に身体が重く感じて、クラリと目眩がした。

「私、柴崎夢輝……夢が輝くで、ゆめき……」

鼻血流しながら自己紹介なんて変だけど、ひどく目眩がして、このまま眠ってしまいそうだった。
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