◆Woman blues◆
無邪気でユーモアに溢れ、何歳になってもとても可愛らしい女性だ。

「凄く美人よ」

……女性なのか。

「へえ」

叔母は、空になったワイングラスを俺に差し出しながら続けた。

「太一は取り敢えず、デザイン一課に入りなさい。彼女の仕事ぶりや、デザインのやり方をよく見ておいて」

「わかりました。それで彼女の名前は?」

叔母は俺の注いだワインを一口飲んだ後、更に微笑んだ。

「いい名前なのよ彼女。夢が輝くと書いて夢輝。柴崎夢輝」

柴崎夢輝……。

仕事の出来る女性は嫌いじゃない。

寧ろ、好きなタイプだ。

俺はまだ見ぬデザイン一課の星、株式会社A&Eの社長が認める才能の持ち主、柴崎夢輝に思いを馳せた。

「ねえ、聞いてるの、太一っ」

リアナがスマホを俺に向けたままプウッとふくれた。

「なんだよ」

「見て!今、私が狙ってるオトコ」

俺は呆れてリアナをシゲシゲと見つめた。

ラテンの血を引く彼女は、何かにつけて大らかで明るい。

恋愛に関しても消して物怖じせず、その美貌も手伝って自由奔放で恋多き女性だ。

「お前なあ……」
< 128 / 143 >

この作品をシェア

pagetop