◆Woman blues◆
「夢輝さん、僕と結婚してください!もう、一生あなたを不安になんかさせません。大切にしかしません」


─大切にしかしません─


この言葉を、確か以前にも聞いた。

太一の口から。

今思えば、本当にそうだ。

私は太一に、大切にしかされてない。

出逢った最初から。

じんわりと涙が浮かび、目の前の漆黒の箱の中が、より一層輝いた。

「太一、」

「本当に本当に、あなたが好きです。僕と結婚してください」

身体がスーッと軽くなる気がした。

太一の真剣な眼差しが私を軽くしているのだ。

37歳で婚約者に去られた私は、心にいくつもの枷が付き、重く沈みそうになっていた。

年齢ばかりを気にしてした私を、いつも温かく包み込んでくれていた太一。

太一が好きだ。

こんな私を愛してくれている太一を、私も愛してる。

「太一」

「……はい」

私は大きく息を吸って涙を拭うと、ゆっくりと口を開いた。

「ありがと……」
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