◆Woman blues◆
太一が私の涙を拭った。

「僕、早く夢輝さんとの子供が欲しいんです。それに僕はいつだって、あなたといると新鮮な毎日をおくれますから」

「太一……」

「子供がいても新婚気分を味わえますよ、僕と夢輝さんなら」

「う……うん」

太一が私に、これ以上ないと言うくらいの笑顔を向けた。

「夢輝さん、これからいっぱい、あなたを甘やかしてあげます。ずっとずっと、一生」

私は太一に抱き着いて彼の顔を見上げた。

「太一の全部が大好きだよ。私も太一を幸せにするから」



その時、ゴイン!と頭に衝撃が走った。

それと同時に麻美の怒りを圧し殺したような声が響く。

「いたっ!」

「何を妄想にふけってんのっ!!帰ってこいっ」

おっと、いけない。

私はテヘッと笑うとブルーマルガリータを一口飲んだ。

「妊活、もしも行き詰まったらうちの病院に来なさい」

麻美がサラッと言った。

「あんたの歳ですんなり妊娠して無事に子供を産める人ばかりじゃないからね」

「うん、ありがとう」

麻美は続けた。

「あんたが王子を射止めたのは、運なんかじゃないって私は思ってる」

「え?」
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