◆Woman blues◆
epilogue
愛しい人が俺の膝で眠っている。

木漏れ陽と、優しい風と、木製のベンチ。

それに、愛する人。

「そろそろ部屋に戻ろう」

彼女の長い睫毛が少し震えた。

「……もう少し……こうしていたい」

眼を閉じたまま唇に微笑みを宿し、彼女はそう呟いた。

「ダメだよ、身体が冷える」

「んー……」

少しだけ目立ち始めたお腹に手をやりながら、彼女はようやく身を起こした。

「……わかった」

そんな彼女に手を伸ばして俺は微笑んだ。

「さあ行くよ、夢輝さん」








      ◆Woman blues◆

         end



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