◆Woman blues◆
◆◆◆◆◆
一ヶ月前。
「えーっ、式場見学にいく約束でしょ?!」
私は眉を寄せて恋人である、東郷秋人を見上げた。
土曜日の朝である。
「悪い!急に会社から呼び出しかかっちゃってさ。週明けのプレゼンまでにもうひとプラン練らなきゃならない。チームの中の一人がいい案持っててさ、それに手を加えようと思ってるんだけど、丸々2日はどうしてもかかってしまうから、今から出勤して泊まり込みで形にするよ」
「……そう……」
飲みかけのスープをテーブルに置き、パンをひとかじりして秋人は席を立つと、
「来週の週末はなんとか都合つけるよ」
秋人は私をチラリと見てそう言うと、足早にリビングを出て、出社する用意を始めた。
その均整のとれた後ろ姿を見つめていると、一抹の不安が脳裏をよぎった。
まさか……秋人は心変わりしたんじゃないだろうか。
昨日、何だかよそよそしかったし、スマホばかり気にしてたし。
背筋がゾクッとした。
やだ、怖い。
この歳で捨てられたら、人生終わる。
私は今37歳だ。
いつも実年齢よりかなり若く見られるが、実際は歴としたアラフォーである。
独身だと言うと、たまに『今まで何してたの?』というような視線を感じる瞬間があるけど、何してたかって言うと……。
二十代はアッと言う間に過ぎ去っていった。
人並みに恋もしたけど、結婚には至らなかった。
結婚するなら頼れる男がいい。
尊敬できる男じゃないと、もっと言うなら自分よりも仕事のデキるハイスペックな男じゃないと結婚する意味がないと思っていた。
一ヶ月前。
「えーっ、式場見学にいく約束でしょ?!」
私は眉を寄せて恋人である、東郷秋人を見上げた。
土曜日の朝である。
「悪い!急に会社から呼び出しかかっちゃってさ。週明けのプレゼンまでにもうひとプラン練らなきゃならない。チームの中の一人がいい案持っててさ、それに手を加えようと思ってるんだけど、丸々2日はどうしてもかかってしまうから、今から出勤して泊まり込みで形にするよ」
「……そう……」
飲みかけのスープをテーブルに置き、パンをひとかじりして秋人は席を立つと、
「来週の週末はなんとか都合つけるよ」
秋人は私をチラリと見てそう言うと、足早にリビングを出て、出社する用意を始めた。
その均整のとれた後ろ姿を見つめていると、一抹の不安が脳裏をよぎった。
まさか……秋人は心変わりしたんじゃないだろうか。
昨日、何だかよそよそしかったし、スマホばかり気にしてたし。
背筋がゾクッとした。
やだ、怖い。
この歳で捨てられたら、人生終わる。
私は今37歳だ。
いつも実年齢よりかなり若く見られるが、実際は歴としたアラフォーである。
独身だと言うと、たまに『今まで何してたの?』というような視線を感じる瞬間があるけど、何してたかって言うと……。
二十代はアッと言う間に過ぎ去っていった。
人並みに恋もしたけど、結婚には至らなかった。
結婚するなら頼れる男がいい。
尊敬できる男じゃないと、もっと言うなら自分よりも仕事のデキるハイスペックな男じゃないと結婚する意味がないと思っていた。