◆Woman blues◆
◆◆◆◆◆◆◆
朝。
「夢輝さん、おはよう」
「おはよ、鮎川君」
マンションを出て駅までの道のりで、太一が後ろから走ってきた。
私の隣に並ぶや否や、男性にしては甘い香りがフワリと漂う。
チラリと見上げると、茶色い大きな瞳がこちらを見ていた。
「昨日は……ごめんね」
「いえ、全然」
その時、
「夢!」
キッ!とマウンテンバイクが道路の端で停まり、私の名前を呼んだ。
サングラスをずらして私を見つめる勝ち気な眼。
「隆太!おはよ!」
「なあ夢、週末デートしようぜ」
「はあっ?!」
「じゃあ、決まりな!」
白い歯を見せて手をあげると、隆太は颯爽とマウンテンバイクをこいで車と人の間に消えていった。
……デート……。
アイツ、何考えてんのかな。
私が呆れて前方を眺めていると、
「するんですか、デート」
太一が、同じく隆太の消えていった方向を見つめたままで問い掛けてきた。
私は笑いながら答えた。
「デートじゃないよ。隆太の冗談でしょ」
「そうでしょうか。狙ってるんじゃないですか、夢輝さんの事」
朝。
「夢輝さん、おはよう」
「おはよ、鮎川君」
マンションを出て駅までの道のりで、太一が後ろから走ってきた。
私の隣に並ぶや否や、男性にしては甘い香りがフワリと漂う。
チラリと見上げると、茶色い大きな瞳がこちらを見ていた。
「昨日は……ごめんね」
「いえ、全然」
その時、
「夢!」
キッ!とマウンテンバイクが道路の端で停まり、私の名前を呼んだ。
サングラスをずらして私を見つめる勝ち気な眼。
「隆太!おはよ!」
「なあ夢、週末デートしようぜ」
「はあっ?!」
「じゃあ、決まりな!」
白い歯を見せて手をあげると、隆太は颯爽とマウンテンバイクをこいで車と人の間に消えていった。
……デート……。
アイツ、何考えてんのかな。
私が呆れて前方を眺めていると、
「するんですか、デート」
太一が、同じく隆太の消えていった方向を見つめたままで問い掛けてきた。
私は笑いながら答えた。
「デートじゃないよ。隆太の冗談でしょ」
「そうでしょうか。狙ってるんじゃないですか、夢輝さんの事」