◆Woman blues◆
私は驚いて太一を見上げた。

「はあ?!こんなアラフォー、誰も狙わないよ」

眉をあげた私を一瞬だけ見て、太一は眼を反らした。

「夢輝さんって、ガードが甘いですよね」

私は太一を見て笑った。

「甘くていいんだよ。私、もう歳だし。じゃないと誰も寄ってきてくれないもん」

ダメだ、若い男といると自虐的になる。

「遠藤さんって、ワイルドな感じでイイ男ですよね」

「そうだね。会社でもめちゃくちゃモテてたよ。結婚するまでは」

「じゃあ、離婚したからまたモテまくるのかな」

「そーなんじゃないー?」

「……その中に夢輝さんも入ってるんですか?」

「は?なんで?」

「だって、なんか凄く仲いいみたいだし」

「そーだねー、参戦するかどーか、考えるよ。さ、電車乗るよ」

「はい」

電車の中では二人とも無言だった。

◆◆◆◆◆◆

「柴崎。みんなも集まってくれ。トラブル発生だ」

課長が眉間にシワを寄せて皆を呼んだ。

徐々にオフィス内の空気が張り詰めていく。

「……はい」

「天然ピンクパールが確保出来なくなった。人工でいく事が決定した。PK18はそのままだ。デザインも変えない。工場長はお前の同期だよな。会議に出てたがお前からも話しといてくれ。材料搬入が遅れるから生産は三日延期だ」
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