◆Woman blues◆
「それで貴方の気がすむなら」

「太一、それってなに?」

太一がふわりと笑った。

「あなたは綺麗だし素敵です。だからもっと自分に期待してください。
それを僕に誓ってくれたら、許してあげます」

私が綺麗だし素敵?

自分に、期待する事?

それから太一は真顔になって少しだけ厳しい顔をした。

「で、これは、罰」

「痛っ」

言い終えるなり、太一は私の額をビシッ!と指で弾いた。

「友達が言うには僕のデコピン、すっごく痛いらしいですけど、夢輝さんだから特別にメチャクチャ手加減しました」

手加減してくれたの?

痛いけど、凄く……。

「部屋まで送ります」

「……うん」

太一が立ち上がって私に手を伸ばした。

伸ばされた手に若干戸惑う私を見て、太一は呆れたように笑った。

「手、かして」

「…………」

ドキドキしてるのを知られたくなかったけど、きっと彼は分かっているだろう。

太一は私の手を握りしめると優しく微笑んだ。

「ほら、おいで。夢輝さん」
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