◆Woman blues◆
vol.3

告白と心境

◆◆◆◆◆◆◆

「夢輝さんは今の仕事が好きですか?」

太一はゆっくりとワイングラスを傾けながら、私に問いかけた。

時間は午後11時前、場所は太一の部屋。

私はコクリと頷いて口を開いた。

「うん、好き。やってるうちに、ジュエリーのデザインもやりがいがあるなって思えてきたし」

私がそう言うと、太一は僅かに眉を上げた。

「もしかして本当は……他の職に就きたかったんですか?」

私は苦笑した。

「本当はね、靴のデザインをしたかったの」

「なぜ靴なんです?」

私は太一の部屋のテーブルを見つめながら昔の自分を思い出しながら答えた。

「気に入る靴がないからよ」

「え?」

「有名ブランド品には確かに良いデザインが存在する。でも、ブランドを背負っているだけあって、原価を考えても値段が高すぎる。
だからって量販店の靴だと私的に納得出来る物がなかなかない。あくまでも私個人の主観だけど、履きたいと思う靴がまず見つからないの」

「運動靴もですか?」

私は首を振った。

「運動靴については凄く良いのが沢山あるよね。私がデザインしたいのは、女性を美しく見せる特別な靴よ。
履くと自信がついて、どこにでも履いていきたくなるような靴なの。『ガラスの靴』みたいにドキドキする靴がデザインしたい」

太一はグラスを持ったまま、私に尋ねた。

「どうして靴の道に進まなかったんですか?」
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