◆Woman blues◆
◆◆◆◆◆◆◆◆

「あんたどーすんのよ。あれからもう二週間だよ?!」

私はジョッキをテーブルに置くや否や、眉を寄せた麻美を見てガックリとうなだれた。

「どーしたらいいか、分かんない……」

「はあっ?!二股かけられてんだよ?!」

私は手元に視線を落として、頷いた。

「それは、分かってる」

実はあの日、秋人を尾行し、彼がスレンダー美女と抱き合ってキスしていた現場を押さえたにも関わらず、私は彼となんの話し合いもしていなかった。

麻美はそんな私の気が知れないのか、とうとう痺れを切らして私を連行した。

そう、いつもの居酒屋『れん』に。

「話し合いしなきゃ、先に進めないでしょーがっ。どーせ彼はまた週末毎に家空けてるんでしょ」

その通りだ。

近頃じゃ、まともに顔を会わせる日もない。

「……怖いんだよね、私」

ガヤガヤと騒がしい店内の中で呟くようにそう言った私の言葉を、麻美は聞き逃さなかった。

「分かるよ。怖いのは分かる。プロポーズもされて、そんなデカイ指輪もらってるのに彼が心変わり、もしくは浮気なんてね」

ハートの形の心臓に、ジャックナイフが突き刺さった画が頭に浮かんだ。

麻美は続ける。

「けどね、こうしてる間にも時間はどんどん過ぎていくの。もうあんたは十分考えたでしょ?!後は彼の気持ちをちゃんと聞くしかないじゃないの」

「うん……」
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