◆Woman blues◆

動き出す想い

◆◆◆◆◆◆◆

三週間後。

「柴崎!企画部長だけじゃなく、社内中の課長以上の役職が全員誉めてたぞ」

私は信じられない思いで課長を見上げた。

「ほんとうですか!?ありがとうございます」

正月企画の案件である。

目玉商品のうちのひとつ、『孫から祖母へありがとうを贈ろう』が正式なキャッチコピーに選ばれ、商品であるジュエリーも、私がデザインした100パターンの指輪の中から二種類を一課全員で選出し、課長がそれを引っ提げて会議に参加した結果の話である。

「やりましたね!」

「夢輝さん、おめでとう」

「ブライダルヴィーナスのティアラも大成功でしたし、週末は祝賀会やりましょう!」

拍手と共に一課の面々のテンションが上がる。

そんな中、課長は皆全員に聞こえるように声を張ると、

「二課のブレスレット、三課のネックレスもかなり良い出来だ。午前中には決定画がアップされるはずだから確認しといてくれ」

皆が返事をし、それぞれのデスクに戻った時、

「良かったですね、夢輝さん」

太一がニッコリ微笑んでいて私を見下ろしていた。

「これで一段落つきましたよね」

「まあね」

私が頷くと、太一はわざとらしく咳払いをした。

「なに」
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