◆Woman blues◆
会社の最寄りの駅はここから二駅先で、私のマンションはそこから更に一駅先だ。

私は大通りに出て駅を目指した。

二十分強で会社に着くと、私はまだ明かりのともる社内に入り、セキュリティゲートを通過した。

わが社は自社ビルで、デザイン一課から三課は五階。

最上階の十階は、社長室を始め専務室、常務室、ゲストルームなどがある。

ちなみに社食は三階。

私はエレベーターに乗って五階で降りると、オフィスに到着してドアに手をかけた。

その時、デザイン一課のオフィスの中から課長の声が聞こえてきた。

「だいぶ馴れましたか?」

ん?

部長とでも話してるんだろうか。

私がそっとドアを開けると、課長がニコニコ笑いながら立っていた。

……太一の前に。

どちらも静かに開けたドアに気付いていない。

太一はデスクに浅く腰を掛けるような体勢で、スーツのポケットに両手を突っ込んだまま首を振った。

「大体の流れは掴みましたが、少し改革も必要ですね。
僕が社長に就任したら、直ぐに案を出したいと思っています」

「楽しみです」

課長はそう言うと、太一に深々と一礼した。

……なにこれ。

どういう事?
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