ただただ君が好きでした

「あのな、俺が1年の時に好きやった子が、迫田に気に入られてて…… 俺は誰にもよう言わんかってんけど、聞いてもうてん」

ゴクンと唾を飲み込む私。

「迫田って、気に入った子をわざと追い込んで、ひとりにさせて、そこにつけこむヤツやねん。迫田のあとをつけてたら、友達と会ってそこで話しててん。お気に入りの子もうすぐ居場所なくなるから俺のものになる、みたいな」

寒気がした。

血の気が引いた。

そんな。


嘘……

私がいじめられるように仕向けていたってこと?


「彼女は、クラスでもいじめられるようになっててその原因が、迫田やってん。いろんな女子に優しくして惚れさせて、そこで特定の子にベタベタしてやきもち妬かせて、みたいな。彼女は、登校拒否になって。遠距離なってからはうまくいかんで別れたけど、ハナちゃんみたいに素直で優しい子やってん」


私と同じ状況……

私も、桃香と日野さんがいなければ、テニス部でひとりぼっちだった。


マナ先輩と出会えてなかったら部活を辞めていたかもしれない。

部活だから逃げることができるけど、クラスだったら……辛すぎる。



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